『DELTARUNE』
開発進捗報告
(2020年9月現在)
はじめに
みなさん、こんにちは。
いま、これを読んでいるみなさんとは、かれこれ5年ぐらいのつきあいになるかと思います。*
その間ずっと僕を応援してくれて、本当にありがとう。
この場を借りて、お礼を言わせてください。
いろんなところでさんざん言ってることですが、僕が作ったささやかなゲームがこんなに注目されるなんて、思ってもみませんでした。でも、そのおかげでおもしろいことがたくさん起きて、僕はいま、別のゲーム作りにはげむことができています。
プレイヤーのみなさんにとっても、僕にとっても、いいことがたくさん起きた気がします。
願わくば、これからも、みなさんと自分、両方を幸せにできることに力を注いでいきたいな、と思うんですが…
どうでしょう?みなさんは、どう思いますか?
*『UNDERTALE』のデモをリリースしたのは2013年なので、そこから数えたらもう7年。僕の人生の25%以上、ということになります…
『DELTARUNE』のこと
またゲームを作ります。
いま作っているのは『DELTARUNE』といって、『UNDERTALE』シリーズの2作目です。
『DELTARUNE』はいくつもの「チャプター」仕立てになっていて、チャプター1を2年前のハロウィーンにリリースして以降、続きの制作に力を入れてきました。
でも今回は、『UNDERTALE』のときよりずっと開発の難易度が高くて…
- グラフィックスが前回と比べて何倍も複雑
- システムも前回より複雑
- 僕のクリエイター/アーティストとして弱いところがネックになりがち
- プロットを組み立てるのも、前回よりずっと難しい(キャラクターの人数も、重要な場所の数も増えたため)
- 1回の通しプレイに含まれるコンテンツが、『UNDERTALE』より大幅増(特にカットシーン)
- 僕がこれまでに完成させたゲームは1作しかない
『UNDERTALE』のときと違って、いま作っているのは、普通なら複数のデザイナーが各要素を分担して作るような規模のゲームです。
シナリオライター、コンポーザー、オーディオディレクター、マップデザイナー、バトルデザイナー、ミニゲームデザイナー、そして統括ディレクター… といった感じに。でも実際は、これらの役割を僕が全部ひとりでやっている状態で。
でも幸い、数か月前に、ゲームデザインの大きな節目を迎えることができました。各チャプターのあらすじをまとめたものが完成して、ほぼすべてのカットシーンのダイアログの第一稿と、BGMのサンプルもできました。
まだ細かい部分が固まっていないところはあるけれど、ゲーム全体の流れはできたし、重要なイベントとそこで発生する戦闘は全部、全貌が見えている感じです。
つまり、この2年間で僕がやってきたことは、シナリオの執筆と、BGMの作曲と、ゲームデザインと、グラフィックス用の下絵の制作、ということになります。でも、じつは他にもいろいろとあって…
チャプター1のリリース後、チームで開発に取りかかろうとした時期もあったんです。2019年の3月ぐらいのことで、そのときの作業の99%は、僕がチャプター1の制作に使ったGameMakerに替わる開発エンジンの調査でした。
…で、細かい話は省きますが、数か月前に、結局GameMakerに戻すことに決めました。やっぱり、このプロジェクトにはこのツールが最適だと。そんなわけで、2020年の5月から、チャプター1をベースに、チャプター2の制作を開始しました。
それから開発は順調に進んで、チャプター2のコンテンツに関しては、年内には完成させられるんじゃないかと思っています(ローカライズや、バグテストや、ゲーム機への移植作業は別です)。
この点は、かなり自信アリです。それに、結局もともと使っていたツールに戻すことにはしたものの、他のツールの調査に費やした時間がムダだったとは思っていなくて。その間もゲームデザインを練っていたのはもちろん、その長い時間の中で、ストーリーやキャラクターをさらに磨き上げるアイデアをいくつも思いついたので。
いまの『DELTARUNE』の形に僕は満足しているし、開発が順調に進んでいることもうれしく思います。
『DELTARUNE』開発進捗見積もり
文字ばっかりなので、開発の進捗を、数字で見積もってみました。
チャプター2 (20/4/15-20/8/13)
フェーズ1:デザイン
メインデザイン :100%(ダイアログ、その他)
初期準備:100%(制作チームの人材集め、デバッグツールの追加、資料作成など)
フェーズ2:実装 (20/5/1~20/8/13)
アート:90%
カットシーン:80%(着手したばかりの部分も含めると90%、第2稿待ち)
弾幕パターン:70%(ザコ敵はほぼ完成、ボスは40%ぐらい、第2稿待ち)
弾幕以外の戦闘要素:30%(「こうどう」は一部完成。ザコ敵との戦闘も可能な状態。ただし、インタラクティブな「こうどう」は未完成で、仕上げ作業が済んでいない状態。ボスは、弾幕パターン以外はプログラムされていない状態)
オーディオ:80%
マップ: ??%。ほとんどが、着手したばかりか、仮の状態。大半が第2稿待ち。NPCとのやり取りは、シナリオができている分はすべて完成。
その他:65%
フェーズ3:仕上げ
バランス調整:0%
バグ修正:0%
ローカライズ:0%
移植:0%
(正直、大半は80%のような気がしますが、実際にはかなりラフな状態です。仕上げには相当時間がかかるので、厳密な完成度は50%ぐらい…?やってみないとなんともですが、チームにとっては、この経験が今後の開発の糧になると思います)
チャプター3以降の進捗
フェーズ1: デザイン
ストーリーとゲーム全体の進行(第1稿): 100%
カットシーンのダイアログ(第1稿、カットシーンの指示はついていない状態):95%
マップデザイン(テキストベース): 70%(チャプターによってまちまち。始めの方のチャプターは完成)
マップデザイン(描画済み): 0%(手首にかなり負担がかかるので、プログラミングが始まってから着手予定)
敵のデザイン(コンセプト): 90%(ボスはすべて確定)
敵のデザイン(弾幕/ビジュアル): 80%(キャラクターによってまちまち。始めの方のチャプターは完成)
音楽(コンセプト):95%
音楽(完成):50%
ビジュアルデザイン:
背景コンセプト(第1稿): 75%
主要キャラクター、ボス(第1稿):100%
フェーズ2
スプライトアート :20%?
その他のコンテンツ制作 :0%
フェーズ3
リリース準備 0%
(ただし、この数字はあんまり当てにしないでくださいね。これまでの経験上、僕は、いざ作りはじめるぞ、という段階になって、突然別のアイデアを思いついたりするので。僕が制作をするときって、いつもそうで… どれだけ前もって計画を立てておいても、結局は土壇場で思いついたことに差し替えちゃうんですよね…)
チームと、自分の限界のこと
前の項目で「チーム」という言葉を出したので、もうお気づきだと思いますが、『DELTARUNE』は、チームで開発しています。僕の他に、3人の常駐メンバーが毎日制作に取り組んでくれていて、臨時でときどきサポートしてくれるメンバーも、何人かいます。
彼らの仕事は、あらゆるコンテンツの実装と整理、弾幕パターンの実装(パートタイムのメンバー)、そして、アートの制作(テミー)です。ゲームデザインとシステムプログラミングは、引き続き僕が担当しています。
僕が考えたデザインの実装を引き受けてくれるチームがいるのは、本当にありがたいことです。特に、いまの僕にはいろいろと「限界」があって、それも開発を難航させている要因のひとつなので…
じつは、長年、手首と手を痛めていたんですが、5か月ぐらい前から手首のコンディションがかなり悪化してしまい、ピアノも弾けない、マウスも使えない、キーボードもほとんど打てない、すべてのPC操作を音声入力でやらざるをえない、というところまでいってしまいました。
それ以来、ウェイトリフティングやエクササイズをしてみたり、いろんな対策を試したりして、ある程度手首のスタミナを上げることはできました。具体的には、トラックボールマウスを両手で使ったり、できるだけ音声入力を使うように心がけたり、フットペダルでマウスをクリックしたり、といった感じです。
そのかいあって、こまめに休憩を挟みさえすれば、1日のうち一定の時間までなら、マウスとキーボードを扱えるようになりました。とはいえ、できれば中断せずに作業できるようになりたい… いまの世界的状況が落ち着き次第、リハビリを再開したいと思ってますし、きちんと直すために手術を受けることも検討したいです。
今後のこと
チャプター2が完成したら、それを土台に、残りのチャプターも制作を進めていきます。チャプター2の開発経験があれば、以降のチャプターの制作は比較的楽になるんじゃないかと踏んでいます。
チームの人数を増やせばもっと効率よく制作できるんじゃ… という気も、しないわけではないです。そうすれば、複数のチャプターの制作を同時に進めていく、なんてことだって可能かも、とか。でも、人が増えれば制作のスピードが上がるかというと、必ずしもそうとはかぎらない。手首のこともあって、こんなに少人数のいまでさえ、僕がチームの足を引っ張ることのないように、いっぱいいっぱいなんです。
それでも、たとえ失敗したとしても、やってみないと前へは進めない。なので、英語圏限定ですが、ゲーム開発を手伝ってくれそうな人材を探してみようかな、と思っています。それで結局見つかった新メンバーは1人だけ…なんてことになるかもしれないけど、僕はこのゲームを完成させるために必要なことはなんでもしたい。それを、みなさんに知っておいてもらえたら、と思います。
最後に
以上です!リリース5周年、めでたいっ!